アパレルブランドが照明設計を牽引した時代
コロナ禍で有名なアパレルブランドの経営破綻のニュースが
国内外で聞こえ、寂しい想いをしています。
今のように、”モール”という商業施設がなく、百貨店や駅ビル施設の中に
ブランドの新店舗は展開されていきました。
(画像はイメージです)
在職中も多くのブランドの照明計画マニュアルの制作に携わりました。
〜ブランドの特徴を引き出し、
どこに展開されるショップも同じ雰囲気を創出するよう〜
内装デザインともに、照明設計も標準設計マニュアルが制作されています。
アパレルに限らず、それこそ、”ショッピング モール”もそうですし
ファストフード、グループ店の飲食などもそうです。
お店のブランドイメージ、コンセプトに合わせた
照明コンセプトから導いた、光設計理論がマニュアル化されていることが多いです。
アパレル全盛期
まだファストファションが登場する前段階
もちろんLED光源ではない時代
退職して(独立して)から
とあるブランドの照明設計をほぼ専属で担当しましたが
新規出店と改装を合わせて年間70店舗
毎日、どこかの地方の図面を描いていました。
オープン前には器具調整(ライティング調整とも言います)
〜商品に向かって、照明器具の照射角度を整える〜に出向きます。
アパレルの場合、例えば百貨店に出店の場合などは
百貨店が区画の図面や(電気)設備の図面をお持ちで
それを、内装デザイナーさんのところで FIX、デザインの入った図面に起こされ、
その図面を照明計画の我われが天井伏図起こし、設備(空調など)と一緒に
照明器具を配置(プロット)するという(図面の)流れです。
その図面を元に、電気工事さんが、照明器具を取り付けてくれるのですが
電気設備的に取り付けてくれるところまで、が、ほとんどなので
向きが変えられる照明を商品へ向けたり、は
我われ照明デザイナーの担当区分になります。
もしくは、お願いして工事屋さんに、器具を振って(角度を変えて)もらいますが
我われの判断で位置や向きを決定の上、やっていただくことになります。
当時はどのエリアに行っても、担当案件がありました。
近くに行った際は、オープンから何年経っていても必ず見に行きました。
我が子の様子を、木の陰からそっと覗き見るようなキモチ、でしょうか。
商業施設の仕事は照明にとって”魅せる”花形のお仕事だと思っていました。
今もそうかもしれません。
しかし、営業時間中に工事はできないので、夜間や世の中の休日が工事日。
世の中、人のお休みに担当するお仕事
夜中の1時に電話で起こされることは(家庭的に)もう無理だな、と思い
商業施設のお仕事から退きました。
最近のニュースでふと、アパレルへの設計のお仕事を思い出しましたが
間違いなく、わたしの今のキャリアの礎です。
『魅せること』『よく見えること』
” なぜかわからないけど、ふらり〜と入ってしまった 、ような ”
” 素敵な空気感の設計を光で行いたい "と、ずっと思っていました。
絶対に飲食(レストラン)には " ふらり "とは、入れない(笑)入らない?
物販店の光設計を大切に思い続けていました。
購買のカタチも変わって、お店に行くことがすべてではない、今
リアルショップはどうあるべきか?が問われていますが
リアルは、リアルとしての良さを追求して”価値”を見出す時代、と感じます。
好きなお店はありますか?
自粛明けに、ぜひ足を運んでみてください。
ニュースタンダード
新しい目線で、空間を見ることができる、かもです。
今日は少し思い出も交えて、考えてみました。
去るブランドに敬意を表して。
光環境設計室
きくはら けいこ
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